皮膚科学の専門団体である日本皮膚科学会は、2010年に男性型脱毛症の診療ガイドラインを発表しています。これは、社会的に横行している医学的根拠に基づかない治療法から患者を守る事が目的であり、皮膚科学の視点から有効と考えられる方法から順番にランク付けが行われています。
塩化カルプロニウム外用は、市販されている育毛剤に配合されている有効成分です。血管を拡張する作用がある事から血行不良が原因の脱毛症に対しては、改善効果を期待する事が出来ます。さらに、円形脱毛症に対しての治療にも利用されています。
塩化カルプロニウム外用のガイドラインでの評価は、C1という推奨度に分類されています。C1とは、行う事を考慮しても良いが十分な根拠がないという意味です。ただし、臨床実験においては改善効果が確認されています。また、この成分を配合した有名育毛剤の場合は、改善率はさらに高くなります。
86例のAGA患者が、24週間外用したところ改善率は、26.7パーセントと報告されています。これに、軽度改善を含めると90パーセント近い数字にまで高まります。このために、日本皮膚科学会ではこの成分を外用療法の一つとして推奨できるとしています。
十分な根拠がないという事は、現段階では有益性が十分に実証されていないという意味です。ただし、これは単独で使用した場合の事であり、生薬を配合して製造されている育毛剤の場合は、膨大な診療実績を積み重ねているので、評価が異なる事になります。
また、この育毛剤はAGAだけを対象としているわけではありません。このために、女性の薄毛に対しての改善率は54.5パーセントと男性よりもかなり高くなっています。軽度改善を含めると90パーセントを超えており、かなり期待が持てる数字が公表されています。
男性型脱毛症は、男性ホルモンが変化した物質が原因の男性特有の症状です。日本皮膚科学会によるランク付けは、この症状に対しての有効性を指標としています。つまり、他の脱毛症に対しては異なる評価が下される可能性があるという事です。特に、この症状とは関係がない女性の薄毛の場合には、改善する確率は高くなっています。
市販の育毛剤の発毛作用や値段を知る上で便利なのが、実際に購入して使用した人による体験談が記されている口コミです。医学的な視点ではありませんが、実際の感想が綴られています。このために、貴重な参考材料として利用する事が出来ます。